土地を相続する際にすべきこと!相続税の手続きについて
親や配偶者が亡くなって土地を相続することになった場合、どのような手続きをすれば良いのでしょうか。
土地は一般的に財産価値が高いため、相続税も高額になる可能性があります。
相続は誰にでも起こりうることですが、頻繁に経験することでもないため、不慣れなことが多いです。
手続きでお金が動くことに不安を感じたり、何から手をつければ良いのか戸惑ったりする人もいることでしょう。
この記事では、土地を相続する際の流れ、不動産登記手続きに必要な書類と費用、遺産の分割方法について、詳しく解説します。
土地の相続の手順や流れ
人が亡くなったときに「相続が発生」や「相続が開始」といいますが、一般的には亡くなった人(被相続人)が所有していた財産を受け取ることを相続といっています。
相続は、被相続人が亡くなったことを知った日から始まり、10ヵ月後までには相続税の申告と納税を済ませなくてはなりません。
相続税の申告には多くの準備が必要なため、できるだけ早くから動き出すことをおすすめします。
まずは相続税の有無や遺産ボリュームに拘らず、相続が発生した場合の基本的な手順と、土地を相続するための手続きについて、説明しましょう。
相続が発生した時にすべきこと
まずは、次の3点を確認します。
●遺言書の有無を確認
遺言書がある場合、基本的には遺言書に記載されたとおりに遺産を分けることになります。
遺産分割を済ませたあとで遺言書が発見された場合であっても遺言の内容が優先されるため、まずは遺言書の有無を徹底的に調査しましょう。
●相続人を確認
被相続人にとっての相続人が誰なのかは、法律によって定められています。
範囲と順序は次のとおりで、上位の該当者が1人でもいる場合は下位の人は相続人になりません。
順序 | 被相続人との関係 |
常に | 配偶者 |
第1順位 | 子 ※子が亡くなっている場合は、直系卑属(孫、ひ孫) |
第2順位 | 父母 ※父母が亡くなっている場合は、直系尊属(祖父母、曾祖父母) |
第3順位 | 兄弟姉妹 ※兄弟姉妹が亡くなっている場合は、甥姪 |
被相続人との関係は、被相続人が生まれてから亡くなるまでの全戸籍謄本か、相続情報一覧図で確認できます。
相続人の数や組み合わせは相続税の計算に大きな影響を与えるため、見落としのないようしっかりと確認しておきましょう。
●相続財産を確認
相続財産を調べたり特定して、財産目録を作成しましょう。
被相続人が所有していた「経済的価値のあるもの」はすべて相続財産に含まれます。
一方で、被相続人に債務がある場合は、相続人が「返済する義務」を相続することになる点に注意が必要です。
債務と葬式費用については遺産総額から差し引くことができます。
相続財産に土地が含まれているかどうかは、固定資産税の納税通知書や市区町村の名寄帳でわかります。
遺産分割について話し合う
相続人が複数いて遺言書がない場合は、遺産をどのように分け合うのかを話し合いましょう。
相続人全員が納得するのなら、法定相続分どおりでなくてもどのような割合で分けてもかまいません。
●遺産分割協議書を作成
相続人全員の合意を得たら、誰がどのように遺産を相続するのかを記載する「遺産分割協議書」を作成し、家庭裁判所で相続放棄手続をした人以外は、全員で署名・実印押印します。
相続登記
遺産分割協議が決着したら、土地の所有者を変更するために「相続登記」を行います。
相続登記には、多くの証明書類が必要です。
予め必要書類を調べておくと、効率良く準備することができるでしょう。
●相続登記に必要な書類(取得先)
①登記申請書(法務局Webサイト参照)
②被相続人の戸籍謄本、除籍謄本、住民票か本籍地記載の戸籍の附票(被相続人の本籍地の市区町村役場)
③相続人全員の戸籍謄抄本(各相続人の本籍地の市区町村役場)
④新しく登記名義人となる相続人の住民票(該当する相続人の居住地の市区町村役場)
⑤遺産分割協議書
⑥該当不動産の固定資産税納税通知書か固定資産税評価証明書など
●登録免許税
登記には、登録免許税という費用がかかります。
「申請する不動産の固定資産税評価額の合計」に「税率0.4%」をかけた金額が、登録免許税額です。
今回相続される土地がまだ先代名義のままであれば、今回の被相続人名義にするまでの登録免許税は令和7年3月31日までなら免税されます。
●法務局への書類提出方法は3つ
各種の書類が整ったら、該当不動産の住所地を管轄とする法務局へ提出します。
窓口への持参以外にも郵送やオンラインといった提出方法があるため、利用しやすい方法を選びましょう。
土地の共有相続はやめた方が良い?分割(分筆)して相続できる?
相続税の申告は相続開始から10ヵ月以内に行わなければならず、遺産の分割が間に合わなかったからといって申告期限が延びることはありません。
申告期日までに遺産分割が終わっていない場合でも、法定相続分の割合で共有相続したものとして相続税申告しておく必要が生じます。
1つの土地を共有名義で保有することのデメリットと、その解消方法について考えてみましょう。
共有名義のデメリット
1つの財産を共有名義にすることの最大のデメリットは、何かをする際に「全員の合意が必要」になるという点です。
例えば、親が所有していた土地を子2人(A、B)が1/2ずつ共有相続した場合、子Aが売却したいと思っても子Bが反対すれば、原則として売却はできないということになります。
相続時には合意を得ていても、将来の家族構成や経済状況の変化によって意見が変わることは多いものです。
また、共有者間での合意が得られないため、手がつけられずに土地を放置していた場合、共有者が死亡するたびに共有者の数が増え、さらにややこしいことになる恐れもあります。
共有名義を検討する場合は、将来のトラブルの種になる可能性があるということを十分に理解する必要があるでしょう。
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★代償分割と換価分割とは?遺産分割で上手な使い分けを提案
共有名義のデメリット解消①共有物の分割
共有物の分割とは、文字どおり共有している土地を分ける方法です。
●「分割」と「分筆」とは
「共有物の分割」とは、例えば2人がいったん共有相続し、その後「文筆して」片方をAさん単独所有にし、もう片方をBさん単独所有にする手法です。
別々の登記になることで、それぞれが自由に売却などを行えるようになります。
但、費用が高額になりがちなので、できれば共有相続前に分筆して最初から単独相続したいものです。
●分筆後の土地評価額に注意
また、分けた土地が価格的に等価であれば無税ですが、価格差があると贈与税や不動産取得税が課される可能性があります。
面積で等分にしたつもりでも、分けたことによって一方の土地の利便性が良くなり評価額が上がる可能性に注意が必要です。
共有名義のデメリット解消②分割以外
デメリットを解消する方法として、分割以外のものをいくつか紹介しましょう。
①土地のすべてを売却して、売却額を分ける
共有者の同意を得られるならば、すべて売却して現金化してから再配分するというのも有効な手段です。
②共有名義人の1人が、他の共有者の分を取得する
例えば、共有者の1人である子Aが、同じく共有者である子Bの持ち分を何らかの形で取得してしまえば、その土地の名義人は子A1人になる わけです。
取得の方法としては次の方法が考えられますが、それぞれに注意点もあります。
方法 | 注意点 | |
買い取り | 対価を払って他の共有者の持ち分を含むすべての土地を1人の共有者が所有する | 譲渡所得に対する所得税が発生する |
贈与 | 1人の共有者に対して、他の共有者が持ち分を贈与する | 高額の贈与税が発生する |
交換 | 子Aが所有する他の土地と、子Bの持ち分とを交換する | 状況によって譲渡所得に対する所得税がかかる |
同じ額のお金が動く場合、一般的には相続税よりも所得税や贈与税のほうが税負担は重くなる傾向にあります。
できれば、遺産分割時に、分筆してから相続したいものです。
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●不動産の共有相続は避けるべき
土地は売却してお金で分けることができる?
まず、遺産分割の方法についてお話ししましょう。
土地に限らず、遺産を分割する際には、次の3つの方法を選ぶことができます。
現物分割
現物分割は、相続した財産をそのままの形で相続人に分けるという最も一般的な方法です。
預貯金や有価証券といった分けやすい財産向けの方法といえます。
換価分割
相続財産を売却して、現金化してから分割する方法です。
土地のように物理的な分割が難しい財産でも、この方法ならば均等に分割することができます。
但、現金を受け取る人が共有相続の後、売却することの意味なので皆が譲渡所得の申告をする必要が生じます。
代償分割
1人または数人の相続人が現物を相続し、他の相続人に対して代償金を支払うという方法です。
被相続人の自宅家屋に相続人が引き続き住む場合など、売却処分を望まない不動産が遺産の大半を占めている時に有効な手段だといえますが、「代償金」をいくらにするべきなのかは専門家の助言は必要でしょう。
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土地の「相続税評価額」とは?
相続財産の価格は通常、国が定める「財産評価通達」を用いた相続税評価額で考えるため、実際の取引価格とは異なることもあるでしょう。
それぞれの財産について価値を評価する方法が決められており、土地の場合は次の方法で評価を行います。
路線価方式
●路線価×補正率×土地の面積
路線価とは、予め路線(道路)ごとに国税局が定めた1平方メートル当たりの価額のことです。
その路線に面する土地は、路線価を基準に土地ごとの補正をした後の単価面積をかけることで評価額を算出します。
倍率方式
●固定資産税評価額×一定倍率
路線価が定められていない地域では、市町村が算出した土地の固定資産税評価額に、国税局が地域ごとに定められた一定の倍率をかけて評価額を求めます。
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●土地評価の減額は相続税の節税と遺産分割で最重要
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土地の相続税を下げる方法は?
相続税の計算は少々複雑ですが、結局のところ「課税額×税率」で税額を算出するという点は他の税額計算と変わりません。
つまり、課税額を減らすことが相続税を下げることにもつながるわけです。
課税額を減らすためには、「土地の評価額そのものを減額する方法」と「税額を軽減する方法」があります。
評価額を減額する方法
土地の評価額計算方法については、すでにお話ししたとおりです。
しかし、同じ路線に面していても、四角形の土地と台形の土地、L字型の土地、細長い土地では、建築の際の条件などが異なり利便性に差が生じます。
そこで、公平に評価するために、土地の形状や周辺状況に合わせて評価を調整するために定められた割合が「補正率」です。
●補正率の適用例
例えば、間口が狭小な土地では、間口の距離と立地に応じて1.00~0.80の補正率が定められています。
評価額5000万円の土地に0.80の補正率が適用された場合、「5000万円×0.80=4000万円」で、評価額が1000万円も減額になるというわけです。
補正率は複数適用させることも可能なため、大きな減額につながる可能性があります。
土地を相続する場合は、登記事項証明書などの書面だけでなく、しっかりと法務局情報や自治体情報を入手した上で現地調査をして補正減額要素を集めることが大切です。
相続人による減額制度を利用する方法
小規模宅地等の特例は、適用要件を満たす土地の評価額を大きく減額させる制度です。
この減額は相続税計算上のもので、現実の価値を下げるわけではありません。
適用要件 | 減額割合と限度面積 |
・被相続人の住居を配偶者や同居親族が相続した場合 ・被相続人の事業を親族が継承した場合 など |
適用要件を満たす場合、財産評価額を下記の割合で減額 ・被相続人の住居:80%(330㎡まで) ・被相続人の事業用:80%(400㎡まで) ・被相続人の貸付事業用:50%(200㎡まで) ※住居特例や貸付事業特例とは選択必要 |
配偶者が住居を相続する場合以外は、相続開始時から相続税申告期限までの間は相続した宅地を保有し続ける必要があるため、売却したい場合は要注意です。
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●土地評価を下げる為の徹底調査
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土地の相続登記は、しないとペナルティーがかかる?
2022年(令和4年)現在においては、まだ相続登記の申請は義務ではないため、申請しなくてもペナルティーなどはありません。
相続登記には書類を整える手間と費用と時間がかかり簡単にはいかないため、しないで済ませようと考える人もいるでしょう。
しかし、相続登記をしないという選択は、デメリットも多いのです。
相続登記をしない場合のデメリット
●売却できない
土地は、相続登記をすることで所有権が移り、名義が変更されます。
所有権がない土地は、売却もできないというわけです。
●所有者不明土地となってしまう可能性がある
所有者不明土地とは、登記簿で所有者が見つけられない土地のことです。
そうなると公共事業や復旧・復興事業の妨げになったり、民間取引の阻害となったりと、知らないうちに土地の活用を邪魔してしまう可能性があります。
●隣地との境界を確定するときに面倒
相続登記していないと、その都度、遺産分割協議書や遺言書を見せない限り法定相続人全員が境界確定書に署名・押印する必要が生じます。
2024年(令和6年)4月1日 相続登記の申請義務化
相続登記がされないことにより、所有者不明土地が多いという問題が生じています。
その原因の66%は相続登記の未了だとされており、順次民法が改正されることになりました。
概要は以下のとおりです。
●登記がしやすくなるように不動産登記制度の見直し
①相続登記、住所変更登記の3年以内の申請義務化
②相続登記、住所変更登記の手続きの簡素化、合理化
③遺産分割協議の10年以内の期限化 など
●土地を手放すための「相続土地国庫帰属制度」の創設
・相続で取得したが管理ができない土地などの場合、様々な条件をクリアした土地に限り、その土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度が創設された。
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●遺産分割や相続登記していない不動産に国が警鐘!相続を放って置くのはNG
土地の所有者は、まず土地に詳しい税理士に相談すればメリット大!
土地を相続する場合は動く金額も大きく、様々な要因が絡み合ってくるため、個人では手に負えないと感じることが多いでしょう。
税の専門家である税理士に相談することで、土地の適正評価や各自の状況に応じた減税制度などのアドバイスも受けることができ、その後の手続きがスムーズに進む効果が期待できます。
ただし、土地と税法とは専門分野が異なるため、すべての税理士が土地に詳しいわけではありません。
土地相続問題を多く扱っている税理士法人ならば、独自のノウハウを培っており、土地に関連する問題にも対応できるでしょう。
まずは、依頼の前に税理士のサイトをご覧になったり、初回無料相談などのサービスを利用したりして、自分に合った税理士を探してみるのがおすすめです。
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