生前贈与の非課税枠とは?

生前贈与には、年間110万円まで贈与税がかからない基礎控除制度があり、節税に役立てることができます。
また、住宅取得等資金や教育資金、結婚費用、子育て資金など、まとまった額の贈与に関する非課税枠を活用して、親や祖父母が子や孫を効果的にサポートすることもできるでしょう。
さらには相続税の節約にもつながります。

今回は、これらの非課税制度の利用方法や限度額、使える人や注意事項について詳しく解説します。

生前贈与とは?

生前贈与とは?

「贈与」とは、個人が所有する財産を無償で他者に譲り渡すことです。
贈与は契約であり、贈与者と受贈者双方の合意があって初めて成立します。
このとき、贈り主(贈与者)と受取手(受贈者)の関係は、親族でも他人でもかまいません。

贈与は内容によって、主に以下の3つに分かれています。

●生前贈与
贈与者が生存している間に行われる贈与です。
一般的に贈与といった場合は、生前贈与を指すことが多いでしょう。

●死因贈与
贈与者が亡くなったときに贈与が実行されるように、贈与者と受贈者の間で契約を交わしておく贈与です。

●負担付贈与
「借金とセットで財産を贈与する」などを、負担付贈与といいます。
他には、「同居してもらう代わりに、実家不動産を譲る」「介護をしてもらう代わりに、遺産を渡す」というように、死因贈与とセットで行われることもあります。

相続をした場合と生前贈与をした場合の違い

相続をした場合と生前贈与をした場合の違い

生前贈与と相続には、4つの大きな違いがあります。

●実行のタイミング
生前贈与が成立するタイミングは、贈与者も受贈者も意思能力がある間です。
一方、相続は、財産の所有者(被相続人)が亡くならないと始まりません。

●財産を渡す相手
生前贈与では、贈与者の自由な意思で受贈者を選択できます。
しかし、相続では亡くなった所有者(被相続人)の親族・血族のうち、民法によって定められた相続人以外の人には相続する権利はありません。

●渡す財産の選別
生前贈与は、贈与者の意思でどの財産を誰に渡すか決めることができます。
贈与契約には受贈者の合意も必要ですから、話し合いによって受贈者の希望を反映させることもできるでしょう。
一方、相続では、被相続人の所有する財産も債務もすべて相続人が承継するわけです。
相続人が複数名いるケースでは遺産分割協議を行い、相続人全員の合意を得た方法で財産を分けます。

●財産にかかる税金
贈与にかかる税目は、「贈与税」です。(負担付贈与の場合は贈与した側に譲渡所得税が発生する場合もあります)
贈与税は、毎年1月1日から12月31日までの1年間で得た財産に対して課税されます。
ただし、基礎控除があるため、年間110万円までの贈与には税金がかかりません。

一方、相続にかかる税金は、「相続税」です。
相続税は、相続によって得た財産の合計額に対してかかります。
相続財産には、家や土地などの不動産や預貯金・有価証券口座などが含まれることが多いため、課税価格も高額になることがほとんどです。
そのため、相続税には「3000万円+600万円×相続人数」という大きな基礎控除が用意されています。

相続税の節税になる2024年(令和6年)改正の子への生前贈与

相続税の節税になる2024年(令和6年)改正の子への生前贈与

就学・就職、結婚、出産など、人生において経験するであろう大きなできごとを「ライフイベント」と呼びます。
家や車の購入、旅行なども、ライフイベントのひとつです。
ライフイベントには出費がつきものですが、特に結婚・出産や教育、住宅購入には大きな資金が必要となります。

自分の死後に財産を残すよりも、子どもや孫が大きな資金を必要とするタイミングで支援してあげたいと思う方も多いでしょう。
そのようなケースで使うことができる贈与税の非課税特例について説明します。

住宅取得資金にかかる贈与税の非課税措置【2026年(令和8年)12月31日まで】

住宅を購入・新築するための資金を父母や祖父母が援助するというケースで利用できる非課税措置です。

●適用要件
贈与者:父母・祖父母(直系尊属)
受贈者:18歳以上の子ども・孫(直系卑属)であり、合計所得金額2000万円以下の者

●対象となる贈与
・床面積50平方メートル以上240平方メートル以下の住宅用家屋(合計所得金額が1000万円以下の場合、下限40平方メートル)を取得するための資金

●非課税限度額
住宅性能によって、以下のように異なる
①一定の耐震性能・省エネ性能・またはバリアフリー性能を持つ住宅:1000万円
②上記以外の住宅:500万円

●注意事項
・原則として、贈与を受けた翌年3月15日までに住宅を取得すること
・適用期間:2026年(令和8年)12月31日まで

教育資金にかかる贈与税の非課税措置【2026年(令和8年)3月31日まで】

父母や祖父母が、子や孫の教育費を援助する目的で一括贈与を行った際に適用されます。
専用口座の開設など、所定の手続きが必要です。

●適用要件
贈与者:父母・祖父母(直系尊属)
受贈者:0歳~29歳の子ども・孫(直系卑属)であり、合計所得金額1000万円以下の者

●対象となる贈与
・金融機関(銀行・信託銀行・信用金庫等)に受贈者名義の教育資金口座を開設した上で、直系尊属から受けた贈与
・専用口座に贈与された金額のうち、下記のような教育資金として用いられたもの
①入学・入園金、授業料、保育料、施設設備費、受験料など教育を受けるための費用
②学用品購入費、修学旅行費、学校給食費など教育に伴い必要となる費用
③学習塾(そろばん塾などを含む)やスポーツ教室、文化芸術に関する活動、その他教養の向上のための習い事・活動の月謝等
・対象となる教育施設(幼稚園、小中学校、高等学校、高等専門学校、大学、大学院、専修学校、特別支援学校その他各種学校)の所在地は、国内外を問わない

●非課税限度額
1500万円まで

●注意事項
・贈与者死亡時には、口座残高から一定の教育資金を除いた管理残額を相続財産に加算
・契約終了時(受贈者の30歳到達など)の口座残高に教育費以外に使った金額の合計額には贈与税を課税
(贈与者の死亡時財産が5億円を超え且つ受贈者が24歳以上の一定の場合には贈与税ではなく相続税が課税)
・適用期間:2026年(令和8年)3月31日まで

結婚・子育て資金にかかる贈与税の非課税措置【2025年(令和7年)3月31日まで】

結婚のための準備金や出産・育児にかかる費用を、父母や祖父母などが援助する目的で一括贈与した際に適用される非課税制度です。

●適用要件
贈与者:父母・祖父母
受贈者:18歳~50歳の直系卑属(子ども・孫)であり、合計所得金額1000万円以下の者

●非課税対象
・金融機関(銀行・信託銀行・信用金庫等)に受贈者名義の結婚・子育て資金口座を開設し、直系尊属から受けた贈与のうち、下記のような目的で支払われたもの
①結婚費用:挙式代・衣装代等の婚礼・結婚披露費用、家賃・敷金・引っ越し費用等の新居費用など
②出産・育児費用:不妊治療・妊婦健診にかかる費用、分娩・産後ケア等にかかる出産費用、子の医療費、保育園・幼稚園・ベビーシッター代など

●非課税限度額
1000万円まで(うち、結構費用は300万円まで)

●注意事項
・贈与者死亡時には、口座残高から一定の金額を除いた管理残額を相続財産に加算
・契約終了時(受贈者の50歳到達など)の口座残高、結婚や育児以外の目的で使用された分を除く残りの金額には贈与税を課税
・適用期間:2025年(令和7年)3月31日まで

相続発生までの期間を気にせず節税できる孫への生前贈与

相続発生までの期間を気にせず節税できる孫への生前贈与

上記制度を利用しなくても、夫婦や親子などの扶養義務者から生活費や教育費、養育費などの充当費用を取得した場合は、税金はかかりません。
扶養義務者にあたらない祖父母などが孫に向けて生前贈与を行う場合は、暦年課税の基礎控除を利用するとよいでしょう。

贈与税の基礎控除

贈与された財産のうち下記に該当する分は、非課税で受け取ることができます。

●基礎控除の対象となる贈与
1月1日から12月31日までの1年間に贈与された財産合計額

●基礎控除額
年間110万円

●注意事項
・受贈者にとっての贈与財産合計額のため、贈与者が複数いる場合はすべて合算される
・贈与財産のうち一定の条件を満たすものについては、相続財産として課税対象となる

相続財産に加算される贈与財産(暦年課税)

暦年課税に関して注意すべきポイントは、死亡した贈与者から相続または遺贈によって財産を受け取った場合、その贈与者から受け取った一定の生前贈与財産が相続財産に加算されるという点です。

このとき加算の対象となる贈与財産の条件について案内します。

●対象者
次のすべてに該当する者
①死亡した贈与者から相続または遺贈によって、財産を取得した者
②その贈与者から生前贈与を受けていた者

●生前贈与の対象期間
贈与者が亡くなる前7年間に、対象贈与者から行われた生前贈与のうち
・3年以内に行われた贈与:贈与財産合計金額
・4~7年以内に行われた贈与:贈与財産合計額から100万円を差し引いた金額
※改正前の対象期間は相続開始前3年間でしたが、改正後は毎年1年ごと延長され最長は7年間となる

●注意事項
・その年の贈与額が基礎控除以下だったことにより非課税で受け取った財産も含む
・対象期間内の生前贈与に対して贈与税を納めている場合は、受贈者の相続税から納めた贈与税額を差し引く

暦年課税における特例税率

基礎控除を超過した贈与財産には贈与税がかかります。
贈与税率には一般税率のほか、税負担の軽い特例税率が設けられており、概要は以下の通りです。

●適用要件
贈与者:父母・祖父母
受贈者:18歳以上の直系卑属(子ども・孫)

●特例贈与財産の対象となる贈与
暦年課税を選択して行われた贈与

相続税の節税にならなくても使いたい2500万円贈与

相続税の節税にならなくても使いたい2500万円贈与

親子、または祖父母と孫の年齢が下記条件に合致する場合に使いたい制度が、相続時精算課税です。
相続時精算課税は以前からある課税制度ですが、2024年(令和6年)1月1日に施行された改正法によっていくつかの点が変更になりました。

より使いやすくなった相続時精算課税を紹介します。

相続時精算課税【2024年(令和6年)1月1日改正】

相続時精算課税とはその名の通り、相続開始時にまとめて税金の計算を行うという課税制度です。

●適用要件
贈与者:60歳以上の父母、または祖父母
受贈者:18歳以上の子、または孫

●相続時精算課税の選択手続き
①贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日の間に、相続時精算課税選択の申請書類を添付した贈与税申告を行う
②その贈与者は「特定贈与者」となり、以降の贈与すべてに相続時精算課税が適用される

●相続時精算課税における贈与税の扱い
・1年間の贈与合計額のうち110万円まで:基礎控除により非課税
・基礎控除を超過した部分で、累計2500万円まで:贈与税対象外(相続時精算)
・累計2500円を超過した金額:贈与税(一定税率20%)課税

●相続税の清算
特定贈与者の死亡した時点での特定贈与財産合計額のうち
・各年の基礎控除該当額:非課税のまま
・各年の基礎控除額を超過した部分:全額相続財産として加算
※2500万円を超過した部分についての既納贈与税額は後日還付

相続時精算課税のメリットとデメリット

相続時精算課税はややこしく、結局得をしているのか損をしているのかわかりにくいと感じる方も多いでしょう。
そこで、ここでは具体的なメリットとデメリットを挙げていきます。

メリット:贈与税0円

相続時精算課税における最大のメリットは、贈与税負担がないという点です。
累計2500万円を超過した部分について、いったんは贈与税を納めますが、相続開始時に行う清算によって還付されます。

例えば、毎年の基礎控除額を適用した後の残額が3000万円だというケースで考えましょう。
ある年の途中で特定の贈与額が累計2500万円に達し、同じ年内に500万円超過した場合、税率20%として100万円の贈与税がかかります。
しかし、そのタイミングで特定贈与者が亡くなった場合、3000万円すべてが相続財産に加算され、相続税の課税対象となるわけです。
このとき、すでに納めた贈与税100万円は還付されるため、重複して納めることにはなりません。

●相続税は贈与税よりも税率が低い可能性がある
相続税も贈与税も、課税価格が高いほど税額も高くなる累進課税です。
最大税率は55%と同じですが、区分方法が異なるため、課税価格が同じでも相続税と贈与税とでは税額に差が生じるでしょう。
また、相続税には「3000万円+600万円×相続人数」という大きな基礎控除があるため、大幅な税額低減効果が期待でき、相続税がかからない可能性もあります。

デメリット:節税できない可能性

相続時精算課税のデメリットは、申告の手間がかかることと、一度特定贈与者になると暦年課税に戻ることができないという点です。
また、特定贈与者からの遺産に不動産が含まれている場合は、税額軽減の特例が使えなくなるケースもあります。
一般的にはメリットが大きい制度ですが、自身のケースで使えるかどうかを慎重に検討することが大切です。

贈与税のかからない生前贈与の方法を解説

贈与税のかからない生前贈与の方法を解説

贈与税の非課税制度・税軽減制度には、夫婦間で適用されるものがあります。
この制度が「おしどり贈与」とも呼ばれている理由は、この制度の適用に長い婚姻期間が必要だからです。

贈与税の配偶者控除について、1つずつ確認してきましょう。

贈与税の配偶者控除

おしどり贈与(正式名称:贈与税の配偶者控除)の概要は次の通りです。

●適用要件
婚姻期間が20年以上の夫婦

●非課税対象
次の条件を満たす贈与
・配偶者に対する贈与
・居住用不動産そのものもしくは居住用不動産取得費用の贈与

●非課税限度額
2000万円
※基礎控除との併用可能

●注意事項
・贈与税の申告時に、配偶者控除の申請手続きが必要
・贈与を受けた年の翌年3月15日までに、対象となる住居に居住を開始し、その後も住み続ける必要がある
・夫婦とは戸籍上の婚姻関係を指し、事実婚パートナーや内縁関係者は対象外となる
・同一配偶者からの贈与では、生涯に一度しか適用されない
・不動産取得による登録免許税・不動産取得税などのコストがかかる

相続税には、不動産の取得にかかる税負担を軽減するさまざまな制度や、最大1億6000万円という大きな配偶者控除があります。
そのため、おしどり控除の利用が必ずしも総合的な節税につながるとは限りません。
タイミングや財産の内容などを考慮して、十分に検討しましょう。

生前贈与の際に起きやすいトラブルや注意点

生前贈与の際に起きやすいトラブルや注意点

ここまでの制度を活用することで、贈与税の減額効果が期待できます。
また、生前贈与を行って資産を減らしておくことは、将来の相続財産を減らし、節税にもつながるでしょう。

しかし、トラブルにつながる可能性もあるので注意が必要です。

生前贈与で注意したいトラブル4つ

生前贈与を活用する際に気をつけたい主なトラブルを紹介します。
いずれのトラブルも、多額の納税や支払いを伴うリスクがあるため、知識を得ておくと安心です。

暦年課税の基礎控除を利用すれば、年間110万円の贈与が非課税になります。
これを利用して、毎年の贈与を繰り返そうと考える人は多いでしょう。

例えば毎年100万円を10年間贈与する場合、「1000万円贈与を約束して、10年間に分けて渡しただけ」と税務署から誤解されない様に次の点に注意しましょう。

●贈与ごとに契約書を作成する
どうせ毎年贈るのだからと、まとめて契約書を作るのではなく、1回贈与を行うたびに贈与者と受贈者が自署(受贈者が未成年者の場合は親権者名も入れて親権者は自署)した贈与契約書を作成しましょう。

名義預金とみなされない為に

名義預金とは、口座名義人と実際の口座管理者が別であることを指す言葉です。
例えば、祖父が祖父の筆跡で孫の名義で年間100万円以下の金額を継続して定期預金や定期積金などをしているケースが該当します。

銀行による集金も祖父宅で行うので預金通帳や証書の管理も祖父が行い、 名義人本人が知らないということも珍しくありません。

名義人が知らない名義預金は、贈与税の非課税制度が適用されないばかりか、贈与者の死亡時には相続財産とみなされ口座そのものが相続税の対象となるでしょう。

●受贈者が口座を管理する
まずは贈与者の管理する口座ではなく、受贈者が実際に管理している口座を用いるようにしましょう。

●贈与契約書を作成する
双方自署の贈与契約書があるということは、贈与者と受贈者の合意を示します。
一方的な名義預金ではなく、双方の意思にもとづき贈与が行われたという証になるでしょう。

遺留分侵害

相続人に対する生前贈与は、「特別受益」と呼ばれる遺産の前渡しです。
そのため、相続が開始した際は、遺言がない限り数十年さかのぼった特別受益分を考慮した遺産分割を求められることもあります。

また、他の相続人の相続する権利を侵害しないような配慮も大切です。

●遺留分割合
遺留分とは、相続人が取得できる相続財産の最低限取り分として定められた割合をいいます。
対象者の範囲や算出方法は法律によって定められており、相続人が有する権利です。
特別受益によって、実際の遺産取得額が遺留分を下回った場合、その相続人は特別受益を得た者に対して不足分を請求することができます。
これを遺留分侵害請求といい、請求を受けた受贈者は、侵害額相当の金銭で支払わなければなりません。

贈与のしすぎで老後資金が枯渇

見落としがちなトラブルとして、節税対策のつもりが生活に影響を与えてしまうということが挙げられます。
生前贈与を活用して相続税の対象財産を減らすことに熱心になり、のちの老後の生活費まで減らしてしまわないように注意しましょう。

老後には出産や子育てといったライフイベントは起こりませんが、自宅の改修や病気療養・介護などに資金が必要なケースが多くなります。
地震発生の確率が上がり、医療の発達に伴い、平均寿命も伸び続けています。
生前贈与を行う際は自らの残りの人生に関するライフプランを練り直し、老後資産がいくら必要かを計算し直すことも大切です。

生前贈与を考えている方は、できることから準備を

生前贈与を考えている方は、できることから準備を

もしも生前贈与を考えているのであれば、早めに準備に取り掛かりましょう。
注意点に留意し、適切な準備をすることで、不要な問題の発生を避け、節税につなげることができます。

贈与契約書の作成

トラブルを回避するために、贈与契約書を作成しましょう。
本来は、贈与者と受贈者の合意があれば契約書がなくとも贈与は成立します。
しかし、詳細な贈与内容を証明するため、また贈与確約の分割払いや名義預金ではないことを証明するためにも、きちんと双方の自署による書面に残しておくことが大切です。

それでは、契約書の記載事項について案内します。

共通事項

まずは贈与契約書に必要な共通事項から確認しましょう。

●贈与の日付
年月日を明確に記します。
「○月吉日」のような曖昧な表記は、契約書自体が無効となるため厳禁です。

●贈与の内容
どのような財産を、いつ、どのような方法で渡すのかを誰が読んでも明らかなように記載します。
その上で、受贈者が「合意した」という文言も添えましょう。

●贈与者と受贈者の署名
贈与契約書は、手書きでもパソコン等を利用して作成するのでもかまいません。
ただし、双方がたしかに合意したことを証明するために、日付や住所、氏名はそれぞれが自筆しましょう。

●実印での押印
押印には認印でもOKですが、双方の印鑑は分けて、できれば実印の方が契約書の信用度が高まります。
また、他の相続人から指摘を受けた場合でも、本人がかかわっていることを証明しやすくなるでしょう。

●未成年者への生前贈与は親権者の署名と押印も必要
贈与契約は法律行為のため、未成年者が単独で行うことはできません。
受贈者本人の署名と押印に加え、親権者の署名捺印も必要です。

贈与契約書:金銭を贈与するケース

金銭を贈与する際は、受贈者の口座に振り込む方法が確実です。
その際、契約書には、双方の合意がある旨と振込で行うというひと言を添えましょう。
その上で、贈与の金額と振込先口座、振込実行日を明記します。

やむを得ず現金を手渡しする場合は、契約書とは別に受領書を作成して受贈者に記入と捺印をしてもらいましょう。
そして、受贈者は受け取った現金を自分が管理している預貯金口座に入金し、記録を残しておくと安心です。

贈与契約書:不動産を贈与するケース

建物や土地などの不動産を生前贈与するケースでは、次のような登記事項を記載し、法務局で名義変更登記をしておきます。

・建物:所在地・家屋番号・種類・構造・床面積
・土地:所在・地番・地目・地積 

法務局で全部事項証明書を取得し、正確に記載することが重要です。
また、不動産の引き渡し日、所有権移転登記手続日(申請日)も書いておきましょう。

●手続き費用や公租公課の負担も記載 また、不動産にかかる固定資産税の負担についても「いつまでは甲、いつからが乙」と決めておき、契約書に盛り込みましょう。

●未登記の建物を贈与した場合は、役所の固定資産税課に「納税義務者の変更の届出」を贈与契約書の写しと共に提出しておきましょう。

贈与税の申告・納税準備

暦年課税を選択して行われた生前贈与の受取額が110万円を超えるケースは、贈与税の申告と納税が必要です。
また、利用したい控除や特例制度によっては、贈与税額が0円でも申告を必要とするものもあります。
納税の必要がないからと申告を怠ると、適用を受けられずに多額の贈与税を納める羽目に陥るかもしれません。
十分に調べておくことが大切です。

不明な点はプロへ相談

不明な点はプロへ相談

相続も贈与も、それぞれの事情によって必要な対応が異なります。
本記事で紹介した制度やトラブルの回避策に関しても、自分のケースで検討しなければ意味がありません。
少しでも不安や疑問がある場合は、専門知識を持つ専門家に相談することをおすすめします。
中でも相続税を専門とする税理士なら生前贈与の非課税枠の活用法にも詳しいため、相続税・贈与税のどちらについても有効な節税のプランを提案することができるでしょう。

とはいえ、税理士に知り合いもいないし、相続・贈与に強い税理士をどうやって見つけたら良いかわからないという方も多いかもしれませんね。
おすすめはインターネットを使うことです。
今の時代、さまざまな税理士法人がホームページを開設し、過去の解決事例やコラムなどで情報を提供しています。
それぞれの事務所の強みなどを確認したり自分の悩み事に関連する記事などを読んだりすれば、きっと参考になるでしょう。
初回相談無料サービスなどを行っていることもあるので、まずは質問をしたりアドバイスをもらったりしてみてはいかがでしょうか。

生前贈与は早めの対策ほど効果が高く、税として支払うお金の額が変わってきます。
税を抑えることでなるべく多くのお金を家族の応援に回せるよう、一緒に考えていきましょう。

相続税申告・相続手続きの
サポート7つ

亡くなった方から相続や遺贈によって財産を取得した場合にかかる「相続税」。
その申告と納税は10ヶ月という限られた期間内で終える必要があります。
相続ステーションⓇでは、相続税申告累計3,000件超を超える実績と豊富な経験・ノウハウがございます。
相続専門の税理士がお客様に合ったサポートを提案しています。

相続対策・生前対策の
サポート6つ

相続税や争族は、生前対策次第で、かなり軽減できます。
相続ステーションⓇでは、様々なメニューの中から、財産内容やご相続人の状況に合った最適なサポートを提案しています。

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