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生前贈与でかかる税金とは 申告期限や必要書類、節税対策についてご紹介

生前贈与は、相続税対策として有効な手段の1つです。
しかしながら、相続の起こるタイミングによっては、贈与した財産が贈与税と相続税双方の課税対象となるケースもあります。
そのように贈与税と相続税が複雑にからみあうケースでは、税理士の助言が効果的でしょう。
本記事では、相続財産に加算する贈与財産とは何かを紹介するとともに、贈与税の課税方法、非課税制度や特例の利用方法、生前贈与を行う際の注意点などについて解説します。

生前贈与で贈与税と相続税の両方が課されるケースとは?

生前贈与で贈与税と相続税の両方が課されるケースとは?

贈与税と相続税は、どちらも財産の移転に対して課される税金です。

贈与税は、財産の所有者が生前に財産を贈与した場合に、贈与を受けた人が納めます。
一方、相続税とは、死亡した人の財産を相続や遺贈によって受け取った場合に生じる税金です。

このように、通常、贈与税と相続税はそれぞれ課税対象が異なります。
しかし、次の条件を満たす贈与財産は、相続財産に加算されて相続税の対象となる点に注意が必要です。

相続開始前7年以内の生前贈与財産

被相続人(亡くなった人)から生前贈与を受けていた相続人が、相続においても遺産を受け取っていた場合、その生前贈与のうち相続開始前7年以内に受け取った贈与財産を相続財産に加算します。
加算対象期間については、2024年(令和6年)における税制の改正により下記の通りに変更されました。

●相続財産に加算される生前贈与
・相続前3年以内の生前贈与:贈与財産合計額
・相続前4~7年以内の生前贈与:4年間の贈与財産合計額-100万円 ※新設

相続時精算課税で取得した贈与財産

相続時精算課税とは、その名の通り「相続時に精算する約束で取得する贈与財産」のことです。
令和5年末までにこの制度を選択した贈与をすると、2500万円までの生前贈与に贈与税がかかりません。
しかし、その贈与者を被相続人とする相続が発生した場合、非課税で受け取った贈与財産が相続財産に加算されます。
令和6年1月以降にこの制度を使った贈与をすると、年110万円までは相続財産に加算されず、110万円を超えた額を加算すればいいように改正されました。

生前贈与でかかる贈与税と相続税の違いについて

生前贈与でかかる贈与税と相続税の違いについて

生前贈与と相続の違いの1つが、かかる税金の仕組みです。
ここでは、贈与税と相続税の課税期間と税率、さらに生前贈与を利用することで得られる節税効果やメリットについて解説しましょう。

贈与税の仕組みと税率

贈与税には、暦年課税と相続時精算課税という2つの課税方式があります。

暦年課税

暦年課税は、1月1日から12月31日までの1年間で得た贈与額に対して課税される方法です。
受贈者(贈与を受ける人)が色々な人から年間に受けた生前贈与財産を合計し、基礎控除を差し引いた額に税率を乗じて算出します。

●暦年贈与の課税額計算式
・課税贈与財産額=1年間の贈与財産合計額-基礎控除110万円

贈与税率は、課税額に応じて税率が上がる累進課税方式です。
また、父母や祖父母など直系尊属から受ける「特例贈与」とそれ以外の人から受ける「一般贈与」で税率が違う点にも気をつけましょう。

●暦年贈与の税率【特例税率】
・贈与者が、受贈者の直系尊属であること
・受贈者が、贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上の成人であること

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1000万円以下 30% 90万円
1500万円以下 40% 190万円
3000万円以下 45% 265万円
4500万円以下 50% 415万円
4500万円超 55% 640万円

●暦年贈与の税率【一般税率】
・特例贈与に当てはまらないもの

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1000万円以下 40% 125万円
1500万円以下 45% 175万円
3000万円以下 50% 250万円
3000万円超 55% 400万円

相続時精算課税

相続時精算課税では、累計2500万円の特別控除を受けられます。
ただし、贈与者が60歳以上、受贈者は18歳以上の直系卑属(子や孫)であることが適用条件の1つです。

この制度は、贈与者ごとに選択するもので、選択後は暦年課税に戻すことはできません。
また、同じ贈与者から受け取った生前贈与財産が、基礎控除および特別控除額を超過した場合は、一律20%の贈与税がかかります。

●相続時精算課税の税率
・2500万円まで:贈与税非課税、相続財産に加算
・令和6年以降については年110万円までの贈与は相続財産への加算が不要に改正
・特別控除を超えた額:贈与税率一律20%

関連 詳細ページ
生前贈与の非課税枠は2500万円と年110万円

相続税の仕組みと税率

相続税がかかる財産は、被相続人の所有する金銭的価値のあるものすべてです。
たとえば、現金・預貯金、株式や債券などの有価証券、土地や家屋などの不動産、書画骨董品や宝石貴金属、車、ゴルフ会員権、著作権などの知的財産権など、あらゆるものが含まれます。

この時、被相続人の遺産合計額から基礎控除額を差し引いた金額が、相続税の課税対象額です。

●相続税の基礎控除
・基礎控除額:3000万円+(600万円×法定相続人数)

法定相続人とは、民法によって定められた相続の権利を持つ親族をいいます。
基礎控除に組み込む法定相続人の数は、法律上の人数であり、実際に遺産を取得するかどうかは問われません。

●相続税の税率(速算表)

取得金額 税率 控除額
1000万円以下 10%
3000万円以下 15% 50万円
5000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1700万円
3億円以下 45% 2700万円
6億円以下 50% 4200万円
6億円超 55% 7200万円

贈与財産を相続財産に加算すると節税になるケースもある

相続税の基礎控除額は高額で、最低でも3600万円になります。
そのため、生前贈与で受け取った額を相続財産に組みこんでも、課税対象額が0円になるケースは少なくないでしょう。

また、相続税は贈与税と同じ累進課税で、課税金額に応じて税率も高くなります。
しかし、相続税と贈与税では税率区分が異なるため、課税対象が同額の場合は相続税のほうが安く済む可能性が高いのです。

生前贈与を活用するメリット

同じ財産を同じ人に渡す場合に、相続よりも生前贈与が適しているケースとして以下のメリットが挙げられます。

渡したい相手に、確実に財産を譲ることができる

相続と生前贈与の決定的な違いは、実行のタイミングです。
生前贈与は、財産の持ち主が生きているうちに実行するため、その意思に従って渡したい相手に渡したい物を確実に贈与することができます。

相続トラブルを回避できる

相続では、遺産の内容や配分によっては親族同士がトラブルを起こすかもしれません。
遺言書を残しても、自身で見届けることができないため不安が残るという人もいるでしょう。
そのようなケースでは、トラブルの元になりそうな財産をあらかじめ生前贈与しておくことで、トラブルを回避できる可能性があります。
万一トラブルに発展しても、所有者自身が生きているため、トラブルの解決を図ることもできるというわけです。

価値が変動する財産の評価額を固定できる

通常、相続財産の価値は、相続が開始した時の時価です。
しかし、生前贈与財産を加算する場合は、その財産が贈与された時点の評価額を受け継ぎます。
そのため、価格変動による値上がりが期待できる土地や有価証券、あるいは収益性のある不動産などを生前贈与しておくことで、より大きな節税効果が見込めるでしょう。

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相続税と贈与税の比較検討(贈与税額表を使って相続と贈与の有利比較)どっちが得?

生前贈与でかかる税金の申告方法や期限、必要書類とは

生前贈与でかかる税金の申告方法や期限、必要書類とは

生前贈与を受けた人は、1月1日から12月31日までの1年間に受け取った贈与財産を合計します。
贈与財産の合計額が、贈与税基礎控除額110万円を超える場合は、原則として相続税申告と納税が必要です。
この時、暦年課税で受け取った分と相続時精算課税で受け取った分は分けましょう。

贈与税の申告方法と期限

贈与税の申告は、贈与を受けた日の翌年に行います。
申告を受け付けるのは毎年2月頭から3月中旬までと決まっており、2025年(令和7年)の申告期間は2月3日(月)から3月17日(月)です。

贈与税の申告に必要な書類

贈与税の申告にあたって準備すべき書類は、贈与財産の内容や各種非課税制度の適用によって異なります。
一般的な必要書類は、以下の通りです。

●贈与税の申告書
・贈与税申告書(第1表):基本的な申告書
・贈与税申告書(第2票):相続時精算課税を選択した場合に必要な申告書

贈与税の申告書については、税務署窓口などのほか、税務署のホームページからダウンロードによって入手できます。

●本人確認書類
・マイナンバーカード
【マイナンバーカードがない場合】
 ・身元確認書類:運転免許証、パスポート、在留カードなど
 ・番号確認書類:マイナンバー通知カード、住民票記載事項証明書など

●贈与を証明する書類
・贈与契約書:贈与の事実や内容を証明する書類
※贈与の内容に応じて、預貯金通帳(写し)、有価証券の取引明細書、不動産の登記簿謄本などが必要になるケースもあります。

●控除制度や特例に関する書類
・相続時精算課税を選択する場合:相続時精算課税選択届出書・贈与者と受贈者の関係を証明する戸籍抄本など
・配偶者控除を適用する場合:婚姻期間を証明する書類
・住宅取得資金贈与の非課税を適用する場合:受贈者の戸籍謄本、住宅取得資金の明細書など

贈与のケースによっては、上記以外の書類の添付を求められる場合もあるでしょう。
自分のケースではどのような書類が必要になるのか、提示でよいのかそれとも提出が必要なのかといった点について、事前に税務署や税理士に問い合わせておくことをおすすめします。

生前贈与を行う手順や流れについて

生前贈与を行う手順や流れについて

生前贈与の実行から、贈与税にかかる申告と納税までの一般的な流れは、次の通りです。

1:贈与契約の締結

贈与者と受贈者双方の合意が必要です。
贈与契約書を作成し、双方の署名捺印を残すことで、合意を証明するか、贈与物を受取れば贈与契約は成立します。
しかし、貸したのか贈与したのかが曖昧になる為に贈与契約書を作成する方が無難といえます。

2:贈与の実行

不動産の移転登記や有価証券の移管手続きなど、財産によっては名義変更手続きが必要です。
金銭を贈与する場合、手渡しではなく、振り込みなどを利用して記録が残るようにしましょう。

3:申告と納税

財産を受け取った人は、贈与税額を計算し、適正な申告と納税を行います。
納税期限は、申告期限と同じです。
期限に間に合わないと、延滞税や加算税を課されるリスクがあります。
申告と納付、どちらも期間内に終わらせることが大切です。

生前贈与での非課税や特例となるケースをご紹介

生前贈与での非課税や特例となるケースをご紹介

親世代から子世代・孫世代への財産承継を促進させるため、生前贈与にはさまざまな非課税制度や特例が用意されています。
ここでは、一般的な非課税制度と特例について説明します。

夫婦の間で居住用の不動産を贈与した時の配偶者控除(おしどり控除)

おしどり控除は、婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用不動産の贈与があった場合、基礎控除110万円とは別に最高2000万円まで控除できる制度です。
適用要件としては、婚姻期間が20年を過ぎた跡の贈与であること、居住用不動産または居住用不動産取得の為の資金であること、その住宅に実際に入居することなどが設けられています。

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」は、父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得資金を贈与された場合に、税額の軽減を受けられる制度です。
住宅の家屋区分と省エネ基準に応じ、省エネ住宅の場合は1000万円まで、それ以外の住宅では500万円までの贈与を非課税で受け取れます。
2026年(令和8年)12月31日までという期限が設けられている点に注意が必要です。

祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度

この制度では、30歳未満の受贈者が、直系尊属である父母や祖父母から「教育資金」として受け取った贈与財産のうち、1500万円までを非課税で受け取れます。
この制度の適用を受ける場合は、金融機関において「教育資金管理契約」の締結が必要で、適用期限は2026年(令和8年)3月31日です。

直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度

この制度では、18歳以上50歳未満の受贈者が、直系尊属である父母や祖父母などから「結婚・子育て資金」を受け取った場合は、合計1000万円まで非課税で受け取れます。
この制度を利用する場合は金融機関において「結婚・子育て資金管理契約」を締結する必要があり、適用期限は2027年(令和9年)3月31日です。

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贈与税のかからない贈与7つ/生活費・教育費、教育資金、結婚子育て、おしどり贈与、住宅取得資金、お祝・お見舞、特定障害者扶養信託

生前贈与でよくあるトラブル、注意点とは

生前贈与でよくあるトラブル、注意点とは

生前贈与は、うまく活用すると節税対策や相続対策にもなります。
しかし、次に挙げるようなトラブルも起こりやすいため注意が必要です。

生前贈与の注意点1:名義預金

名義預金とは、お金の出所と預貯金口座の名義人が異なることをいいます。
父母や祖父母が子どもや孫名義の口座を作りお金を入れているようなケースは、名義預金の1つです。

名義預金は、名義人ではなく、お金を入れていた人の所有物とみなされ、課税対象となります。
また、相続発生時に発覚すると相続財産に加算されるため、贈与税の非課税対象から外れてしまうでしょう。

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生前贈与の注意点2:定期贈与

たとえば、毎年100万円ずつ10年間贈与したケースで考えます。
通常、1年あたりの贈与額が暦年課税の基礎控除範囲内ならば、贈与税はかからないわけです。

しかし、定期贈与だと判断された場合は、初めから贈与額は「100万円×10年間=1000万円」で、受け取り方が分割だったとみなされます。
よって、贈与税の課税対象金額は1000万円となり、課税は避けられないという結果になるのです。

生前贈与の注意点3:財産の渡しすぎ

相続対策を行おうと積極的に生前贈与をしすぎると、生きている間の生活費に影響を与えるおそれがあります。
必要な資金まで減らしてしまわないよう、老後資金とのバランスを考えて贈与することが大切です。
あらかじめ財産一覧を作っておき、どのように贈与を行っていくのかスケジュールを立てておくのもよいでしょう。

生前贈与での節税対策は専門家にお任せください

生前贈与での節税対策は専門家にお任せください

本記事では、生前贈与について手続きや必要書類、注意すべきポイントについて解説してきました。

生前贈与では、財産の持ち主が亡くなる前に自分の希望通りに財産の行き先を決めることができます。
また、相続では、分け方をめぐって遺族の間でトラブルが起きたり、負担が大きく家族が疲弊してしまったりすることも少なくありません。
民法上では生前贈与は「特別受益」として遺産の先渡しの扱いを受けますが、確実に渡したい人に渡したい財産をあげられます。

しかしながら、名義預金を疑われると、生前贈与をしているつもりでも節税効果が得られなくなってしまうでしょう。
さらに、贈与財産の中でも特定の条件に該当するとみなされるものは、相続財産にも加算されることになります。
したがって、贈与税の非課税制度使って効果的に生前贈与を行いたいと考えるなら、専門家に相談することを検討してみてはいかがでしょうか。

多くの相続問題を解決してきた相続に強い税理士ならば、節税対策として効果的な生前贈与について的確なアドバイスや対応ができます。
また、将来を見越した相続対策としても適切なサポートが可能です。

相続に強く、相続を専門とする税理士を探す方法は、それぞれの事務所のホームページを閲覧するのがわかりやすく効率的でしょう。
ホームページには、過去に取り扱った事案の例や成功実績などをまとめたコンテンツが掲載されていますから、それらを参考としてご覧ください。
自分の悩みをキーワードに検索するというのもおすすめです。
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寺西 雅行

この記事を監修した専門家

寺西 雅行

税理士法人プラス 代表税理士
(株)相続ステーション 代表取締役
行政書士法人サポートプラス 代表行政書士

1962年生 同志社大学卒業。学生時代から25才までの間の3度の相続で自身が相続納税や借地人・借家人・農地小作人との折衝に苦労した経験から、不動産に詳しい相続専門税理士の必要性を痛感。
税理士、行政書士、ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、ライフコンサルタント(生命保険)、証券外務員資格、M&Aスペシャリストの8種類の資格を有する相続・遺言・後見・不動産など財産に関する総合エキスパートとなる。
弁護士・会計士・税理士からの業務依頼や銀行からの相談、TVメディアからの解説依頼多数。

著書『相続専門の税理士だから言えるリスク回避の処方箋』
『相続トラブルSOS~専門の税理士がやさしく解説~』
『相続119番~誰にも聞けなかった相続の悩みを一挙に解決!』

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