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遺産分割協議の提案/相続人を早めに決めた方が良い財産の一部分割協議の提案

遺産分割協議は通常は全財産が記載された「遺産目録」を元に、何度かの協議を経て、財産ごと又は財産の種類ごとに相続人を決めていくことが一般的ですが、遺産の把握や価額の算出に悠長に時間をかけている間に不具合が生じる財産も少なくありません。
そこで当社では、
①時価変動の激しい上場株②賃貸不動産③借金担保の不動産④個人事業の在庫商品・備品⑤自社株 など
については、ケースにより全相続人が同意されるのであれば、他の財産に先行して、部分的に相続人を決めておく協議を提案しています。その際には、その分割協議書には先行する理由や「他の財産については別途協議」という文言を入れるようにしています。

預金

2019年の民法改正による未分割預金引出可能額(一金融機関あたり遺産預金額 × 1/3 × 法定相続分で上限一人150万円)では足らないような被相続人の借金返済・相続納税など大金が目先に必要な場合は、必要な額を限度に一部分割するよう提案しています。

上場株

相続手続きに時間を要している場合に時価が大幅下落するリスクがある場合には、急ぎ相続人を決めて、いつでも売却できるように名義変更・特定口座に移管しておくように提案しています。

賃貸不動産と借金

マンションオーナーが死亡すると、翌月分からの家賃を誰名義のどの銀行口座に払っていただくようにするかを記載した「賃料振込口座の変更通知」を急ぎ全入居者に案内することが必要です。
また、マンション建築の為の借金が多額に残っている場合は、その借金と共に、返済の原資となっている賃貸マンションの承継相続人を決めないと銀行からいずれ返済遅延利息が請求されてしまいます。
そのような事にならないように早目に借金承継者と返済可能なように賃貸マンション相続人を決めて、全相続人の実印・印鑑証明つきの「債務引受書」を銀行に出す必要があります。
“借金をしてマンション建てれば“相続対策万全”だからのんびりしてられる”というのは誤解です。
余計に急ぎ遺産分割協議を始める必要があると提案しています。
10ヶ月の申告期限にあわせてのんびりしていられないのです。

借金担保の不動産

借金の担保に入っている不動産は、実は相続発生から6ヶ月以内に相続人に名義変更しないと根抵当が元本確定してしまい、せっかく金融機関が与えてくれた極度借入可能額がムダになってしまいます。
マンション経営で追加借入する場合や事業用手形・小切手債務・大手企業との信用保証担保に不動産が入っている場合は特に注意喚起しています。

個人事業用の財産

個人事業者が死亡すれば大変です。
在庫や備品が全て遺産なので急ぎ事業用資産全てについて相続人を決めないと事業が継続できません。
従業員さんが居る場合は雇用主・給料の支払主を急ぎ決めないと雇用保険や健康保険の変更手続きもできないので先行分割の提案が重要です。

自社の取締役や大株主が死亡した場合

会社というものはその規模や株式会社・有限会社にかかわらず全て「会社法」という法律により成り立っています。
会社の行いは取締役が執行していますが、その取締役が死亡して取締役不足の欠員状態になると執行ができなくなるので急ぎ取締役を補充する必要があります。
その為には形式的にでも株主総会を開いて50%以上の議決を得て新たな取締役を補充する必要があります。ところが50%以上の議決権を持つ大株主が死亡した場合はその決議がままならなくなります。ですので顧問税理士まかせにせずに、一日も早く、自社株について一部だけでも相続人を特定する遺産分割協議を提案するようにしています。

 

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その申告と納税は10ヶ月という限られた期間内で終える必要があります。
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