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土地や不動産の名義変更とは? 手続きの方法や必要書類を全て解説します

土地や家屋などの不動産は、登記簿によって管理されています。
相続や贈与によって所有者が変更された場合は、名義変更手続きが必要です。
本記事では、不動産の名義変更に必要な書類や費用、司法書士に頼らなくても自分で手続きする方法について具体的に解説します。

名義変更とは?土地や不動産の名義変更が必要なケースとは

名義変更とは?土地や不動産の名義変更が必要なケースとは

土地や建物などの不動産は、登記簿によって法務局で管理されています。
譲渡や売買、相続、贈与などによって所有者が変わった場合は、その登記簿の情報を新しい名義人に書き換えることが重要です。

不動産登記簿の名義変更とは

不動産登記簿は、「表題部」と「権利部」に分かれています。
それぞれの記載情報は下記の通りです。

●不動産登記簿①表題部(表示に関する登記)
土地:所在、地番、土地の現況(地目)、土地の面積(地積)等
建物:所在、地番、家屋番号、種類、構造、床面積など

●不動産登記簿②権利部
【甲部】所有権について(所有権移転、仮登記、差押え、仮処分など)
【乙部】所有権以外の権利について(抵当権設定、地上権設定、地役権設定など)

このうち、表題部の登記は、不動産登記法によって義務とされています。
土地の地目を変更した場合や家屋を新築した場合などは、必ず登記が必要です。

一方、権利部については、2024年(令和6年)10月時点で義務ではありません。
しかし、第三者に対して権利を主張するためには、権利部の登記が必要です。
特に、所有権は登記によって法的な効力を持つため、速やかに名義変更(所有権の移転)を完了させることをおすすめします。

遺産相続での土地や不動産の名義変更

遺産相続での土地や不動産の名義変更

親名義の住宅など、親が亡くなった時に不動産を相続するケースは多いでしょう。
相続によって取得した不動産の名義変更を「相続登記」といいます。

この相続登記は、長らく任意とされていました。
そのため、現在暮らしている自宅の名義が親のままだというケースも珍しくはありません。
なかには、祖父母の代から名義変更をしていないケースもあるでしょう。

しかし、2024年(令和6年)4月1日施行の法改正により、相続登記は不動産を相続した人の「義務」となりました。

相続登記義務化の内容

相続登記の義務化によって定められたことは、基本的に次の通りです。

●1.相続から3年以内の相続登記
相続人は、土地や家屋などを相続したことを知った日から3年以内に相続登記をしなければなりません。

●2.相続登記をしないと10万円以下の過料
正当な理由がないのに登記を実施しない場合は、10万円以下の過料が科される可能性があります。

●3.法改正以前の相続も義務化の対象となる
相続登記の義務化施行日は、2024年(令和6年)の4月1日です。
ただし、これより前に相続した不動産もさかのぼって相続登記の対象となります。
過去の相続分については、義務化の実施日より3年以内の2027年(令和9年)3月31日までに相続登記をしなければなりません。

相続登記義務化の理由

所有者が亡くなっても名義が変更されないと、登記簿を見ても現在の所有者がすぐにはわからないという問題が生じます。
代々暮らしている住宅など、現に人が住んでいる物件ならば、その人に問い合わせればよいでしょう。
しかし、すべての土地に人が暮らしているわけではありません。

近年では、少子高齢化の進展による人口減少、地方から都市部への人口流出などのさまざまな要因から、土地を利用したいというニーズは低下傾向にあると考えられます。
そこから土地の所有意識が希薄になり、名義変更をしないまま放置される土地が全国的に増加しました。

その結果、「所有者不明土地」が全国で増加してしまったのです。
そのため、2024年(令和6年)4月1日施行の法改正により、相続した不動産の名義変更が義務化されました。

所有者不明土地とは

不動産登記簿を確認しただけでは、現在の所有者がわからない、あるいは所有者がわかっても連絡がつかない土地のことを「所有者不明土地」といいます。
なぜ、そのような土地ができるのでしょうか。
主な原因は、次の2つです。

●所有者不明土地ができる理由
①遺産分割協議ができていない
②相続した土地の名義変更をしていない
③所有者が転居・転出した際に住所変更をしていない
④誰も相続したがらない

これにより、不動産登記簿における所有者情報は適切ではなくなります。
その結果、次のような状態になっているということです。

●所有者不明土地のパターン
・登記簿の記載情報が古く、所有者を特定できない
・土地の所有者は判明しているが、現在の連絡先(転出先・転居先)がわからない
・所有権を共有している人が多く、共有者全員を特定することが難しい

所有者不明土地が周辺に与える悪影響とは

2022(令和4)年度に国土交通省が発表した資料によると、日本各地の所有者不明土地は、実に国土の24%に達しています。
これは、面積で考えると、九州が収まるほどの広さです。

きちんと管理されないまま放置された土地は、周辺の環境や治安の悪化を招きます。
また、公共事業や市街地開発などが計画されても、所有者がわからなければ用地の買い取りができません。
さらに、土砂崩れなどの防災対策が必要な場所に所有者不明の土地があると、工事を進めることができず危険な状況が長引くことになります。

このように、所有者不明土地は、土地の有効活用を妨げるだけでなく、周辺地域や国の対応を遅らせ事業に悪影響を与える可能性が高いのです。

所有者不明土地を増やさないための「相続登記義務化」

高齢化が進む日本では、今後も相続が減ることはないでしょう。
つまり、所有者不明土地も増加し続けることが予想できます。
そのため、国による対策のひとつとして相続登記の義務化が始まったというわけです。

相続した土地に関する法改正については、下記にご紹介するコラムでも詳しく説明していますのでご参照ください。

関連ページ
遺産分割や相続登記していない不動産に国が警鐘!相続を放って置くのはNG

相続により取得した場合の名義変更

相続により取得した場合の名義変更

では、実際に遺産相続によって不動産を取得した場合の名義変更手続きについて解説します。

相続登記に必要な書類

相続内容に応じて必要な書類は異なりますが、基本的な必要書類は以下の通りです。

●相続関係を証明する書類
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本(全部事項証明書)、除籍謄本、改製原戸籍など
・被相続人の住民票除票、または戸籍の附票
・相続人全員の戸籍謄本(抄本、戸籍事項証明書)
※法定相続情報一覧図によって代用可能

●相続内容を証明する書類
【遺言書がある場合】下記のいずれか日付の新しいもの
・公正証書遺言の正本または謄本
・自筆証書遺言書(自宅保管)と家庭裁判所の検認証明書
・遺言書情報証明書(法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用の場合)

【遺産分割協議を実施した場合】
・相続人全員が実印を押した「遺産分割協議書」
・相続人全員分の押印した実印についての印鑑登録証明書

登記申請者が確かにその不動産を相続したことを証明する書類は、遺産分割の方法によって異なります。

●申請に関する書類
・登記申請書
・相続人の固定資産課税明細書(登記申請日の属する年度のもの)
・新しく所有者になる相続人の住民票

登記申請書は、法務局ホームページの申請書様式ダウンロードページより入手可能です。

相続登記の流れ

相続登記は、次の手順で進めます。

①必要書類を用意する
②申請書類(登記申請書および必要書類)を、不動産の所在地を管轄する法務局に提出

●申請書の提出方法
申請書の提出は、次のいずれかを選択できます。
・窓口に持参
・郵送
・オンライン

相続登記にかかる費用

相続登記には、登録免許税の納付が必要です。
登録免許税とは登記手続を行う際に国に納める税金で、手続きにおける手数料だと考えるとわかりやすいでしょう。
登録免許税の納付金額は、原則として次の式によって算出します。

●登録免許税額の算出方法
固定資産税評価額×0.4%

相続登記未了の土地を相続した場合の免税措置

すでに説明した通り、相続登記は長らく任意でした。
そのため、親が亡くなって相続した土地の名義が、祖父母の代で止まっているというケースも多いでしょう。
本来は、祖父から父(1次相続)、父から自分(2次相続)と、相続登記を2度行い、登録免許税も2回納めるべきです。

しかし、このように1次相続の相続人が亡くなって生じた2次相続によって取得した土地が相続登記未了だった場合は、1次相続分の登録免許税が免除されます。

ただし、この措置は2025年(令和7年)3月31日までの期間限定です。
また、2次相続分の登録免許税については、免税はありませんので注意しましょう。

「以前に亡くなっている方の名義のままの不動産がある」という場合は、特に早目に相続手続きに着手したほうがよいケースとして、下記のコラムでもご案内しています。
どうぞ参考にしてください。

関連ページ
相続の遺産分割の留意点

贈与による土地や不動産の名義変更

贈与による土地や不動産の名義変更

贈与によって土地や建物などの不動産を取得した場合にも、名義変更手続きが必要です。
これを「所有権移転登記」といいます。
必要な書類、手順などは以下の通りです。

●贈与による不動産名義変更に必要な書類
・贈与契約書(贈与の事実を証明する書類)
・贈与する人(登記名義人)の印鑑証明書(発行から3カ月以内のもの)
・贈与を受けた人(受贈者)の住民票
・対象不動産の登記識別情報または登記済証(いわゆる権利証)
・対象不動産の固定資産評価証明書

●贈与による不動産名義変更手続きの流れ
①贈与の実施、その際に贈与契約書を作成
②登記申請書の作成
③申請書に必要書類を添付して、不動産の所在地を管轄する法務局に提出

贈与における名義変更は、特に期限が設けられているわけではありません。
しかし、名義変更を行うまでは、以前の名義人に所有権があるため、多方面で不都合があるでしょう。
持ち主を明確にするためにも、速やかに手続きを行うことが大切です。

名義変更にかかる登録免許税や不動産取得税

名義変更にかかる登録免許税や不動産取得税

亡くなったことをきっかけに財産を承継することを相続、所有者が生きているうちに財産分与を行うことを生前贈与といいます。
相続によって不動産を取得した場合も、贈与によって取得した場合も、名義変更の手続きに大きな違いはありません。
しかし、名義変更にかかる費用には次のような差が生じます。

●登録免許税(土地・建物)
・相続の場合:固定資産税評価額×0.4%
・贈与の場合:固定資産税評価額×2%

●不動産取得税(土地・建物)
・相続の場合:不要
・贈与の場合:固定資産税評価額×3% ※2027年(令和9年)3月31日まで

例えば、固定資産税評価額3000万円の土地を取得したケースで、登録免許税と不動産取得税がいくら課税されるか計算してみましょう。

【相続の場合】
登録免許税:3000万円×0.4%=12万円
不動産取得税:なし
【贈与の場合】
登録免許税:3000万円×2%=60万円
不動産取得税:3000万円×3%=90万円

このように相続と生前贈与では、同じ財産でもかかる費用が異なります。
また、相続には相続税、贈与には贈与税がかかりますが、それぞれ異なる税率が適用されるため納税額にも差が生じるでしょう。
自分の所有する不動産を特定の誰かに渡したいと考える場合は、どのようなタイミングで行うべきか慎重に検討する必要があります。

土地の名義変更をしない場合のデメリット

土地の名義変更をしない場合のデメリット

土地の名義変更は、所有権の移転に必要な手続きです。
つまり、名義変更が済んでいないということは、法律上はまだ自分のものになっていないということになります。
相続によって受け取った不動産の名義変更を怠ると、次のようなデメリットがあるでしょう。

●デメリット1:売買できない
所有権を持たない不動産の売買契約を行ったり譲渡したりすることはできません。

●デメリット2:固定資産税の滞納
不動産を所有している人は、固定資産税を納める義務があります。
しかし、名義変更が行われないと、新しい所有者に固定資産税納税通知書を送ることができません。
通知が来なければ納めなくても良いということはなく、法定納期限までに納めなかった税金には延滞税が日割りで加算されます。
速やかに手続きを済ませたほうが、適正な納税で終えられるというわけです。

●デメリット3:過料の対象となる
相続登記が義務化されているため、相続発生後に特別な理由がないまま3年以上放置すると10万円以下の過料が科される可能性があります。
また、遺産の分割を行わないままの財産は、便宜上相続人全員の共有財産となる点にも注意が必要です。

例えば、親の相続で子ども3人が相続人の場合、その3人が共同相続人となり財産の所有権を均等に持っていることになります。
もしも、子の1人が不動産を売却して資金を得たいと思っても、他の2人が同意しなければ売却することができません。

そうこうしているうちに時間が経過し、相続人の1人が亡くなった場合は、その配偶者や子どもなどが所有権を承継します。
この時に注意してほしいポイントは、子の配偶者が相続人に加わると、相続権が家族以外にも広がるという点です。

そうやって相続を重ねることを数次相続といいます。
2次3次と重なるごとに法定相続人が増え、権利問題が複雑になるでしょう。
関係者の手に負えなくなって放置されるようになれば、「所有者不明土地」になる可能性が高まります。
これ以上、所有者不明土地を増やさないためにも、早めの手続きをおすすめします。

細やかなサポートとスピーディーな手続きは、相続ステーションにお任せください

細やかなサポートとスピーディーな手続きは、相続ステーションにお任せください

代々相続登記を行っている土地を相続した場合の名義変更は、スムーズに行えるでしょう。
しかし、すでに相続した土地が相続登記未了だったというケースでは、法律の専門家に相談するほうが安心であり、かつ面倒な手間も省けるのでメリットが大きいです。
不動産登記に関わる法律の専門家は司法書士ですが、相続税や生前贈与を利用した相続税対策を考えている場合は基本的に税理士に相談すると良いでしょう。

ただし、税理士なら誰でも良いというわけではありません。
相続に関する相談の場合は、相続に強い税理士を探すことが大切です。

実は、税理士にはそれぞれに得意分野があり、会計専門税理士と相続専門税理士では蓄えている知識も培ったノウハウもまったく異なります。
相続問題に強いかどうかを見極めるには、税理士の公式なサイトを閲覧してもらうのが簡単です。
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寺西 雅行

この記事を監修した専門家

寺西 雅行

税理士法人プラス 代表税理士
(株)相続ステーション 代表取締役
行政書士法人サポートプラス 代表行政書士

1962年生 同志社大学卒業。学生時代から25才までの間の3度の相続で自身が相続納税や借地人・借家人・農地小作人との折衝に苦労した経験から、不動産に詳しい相続専門税理士の必要性を痛感。
税理士、行政書士、ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、ライフコンサルタント(生命保険)、証券外務員資格、M&Aスペシャリストの8種類の資格を有する相続・遺言・後見・不動産など財産に関する総合エキスパートとなる。
弁護士・会計士・税理士からの業務依頼や銀行からの相談、TVメディアからの解説依頼多数。

著書『相続専門の税理士だから言えるリスク回避の処方箋』
『相続トラブルSOS~専門の税理士がやさしく解説~』
『相続119番~誰にも聞けなかった相続の悩みを一挙に解決!』

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