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不動産の相続税評価額とは? 計算方法や仕組みをわかりやすく解説

不動産を相続した場合に注意すべき点は、土地の相続税評価額です。
土地の評価方法は複雑で、相続問題と土地の法令についての知識がなければ、適正な評価はできません。

本記事では、土地の相続で必要な評価額計算方法や注意点などをわかりやすく解説します。

不動産ごとに評価される相続税と基本の考え方

不動産ごとに評価される相続税と基本の考え方

親や配偶者など身近な親族が亡くなった場合、その財産を受け継ぐための相続が開始します。
相続では、相続税申告や遺産分割を行うために、亡くなった人(被相続人)の財産目録を作成して、その評価額(資産価値)を算出しなければなりません。

このとき、遺産の中に実家の建物と土地などの不動産がある場合は、相続税と土地評価に詳しい専門家に依頼することをおすすめします。
なぜなら、土地の査定は複雑で適正に評価することが難しいからです。
しかし、専門家に依頼することはコストが生じるため抵抗がある人もいるでしょう。

そもそも、なぜ遺産総額を算出しなければならないのでしょうか。

正確な遺産総額を算出する理由とは

相続で財産を取得すると相続税がかかります。
ただし、すべての財産が課税されるわけではありません。

相続財産のうち、相続税の対象となる課税遺産総額は、下記の計算式で求めることができます。

●課税遺産総額の計算式
①(遺産総額+一定の条件を満たす贈与財産)-(被相続人の葬式費用+被相続人名義の債務+非課税財産)=正味遺産額
②正味遺産額-(基礎控除額:3000万円+600万円×法定相続人数)=課税遺産総額

このとき、課税遺産総額が0円以下であれば、相続税はかかりません。

不動産は一般に高額な遺産ですが、法定相続人の数が多い場合は基礎控除額と相殺できるケースもあるでしょう。
遺産額が基礎控除の金額を上回り相続税がかかるケースでは、相続人それぞれの取得額に応じて税額を算出します。

納税額の過不足が生じている場合

申告・納税後に遺産を過大に評価していることが判明し、納付した税額が過大であるとき、更正の請求をすることができます。
もしも、遺産の評価額が適正でなければ、納める必要のない税金を納めることになりかねません。

納税額に過不足が生じた場合、不足しているケースでは税務当局から連絡があったり税務調査が入ったりするでしょう。
そうして修正申告を促されて、不足額を納税することになります。

しかし、納税額が多すぎた場合は、通常、税務署からの連絡はありません。
納税者が自ら更正の請求をしなければ、過剰分が還付されることもないのです。

不動産ごとの評価方法

財産ごとの評価方法は、民法によって定められています。
このときの価値は、実際の購入価格ではなく相続開始時点の時価であることに注意が必要です。

不動産の評価方法

家などの建物は、基本的に固定資産税評価額を基準に評価します。
土地は、原則として宅地・田・畑・山林などの地目ごとに分けますが、ここでは、建物の敷地である宅地のケースで考えましょう。

建物の敷地である宅地の評価方法は、下記の2通りです。

●宅地の評価方法
・路線価方式
・倍率方式

具体的な計算方法や注意点などの詳細については、次項以降で解説します。

土地の相続税評価額の計算方法 ①路線価方式

土地の相続税評価額の計算方法 ①路線価方式

路線価方式は、路線価が定められている地域で用いる評価方法です。

●路線価方式の計算式
正面路線価×(補正率)×地積=評価額

路線価とは、路線(道路)に面した宅地1平方メートルあたりの価格のことで、国税庁ホームページの「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」に掲載されています。

補正率とは

例えば、正面路線価20万円の地域に120平方メートルの土地があった場合の評価額は、2400万円です。
しかし、この計算方法では「10メートル×12メートル=120平方メートルの土地」も「4メートル×30メートル=120平方メートルの土地」も同じ価格だということになります。

地積は同じですが、ほぼ正方形の土地と細長い土地では使い勝手が大きく異なりますよね。

このように、単純に地積だけでは評価しきれない部分を補正するための値を補正率といいます。

補正率が適用されるものとは

補正率を適用して路線価より下げられる可能性のある土地は、次のような特徴を持つ24種の土地です。

・間口が狭い土地
・奥行きが長い土地
・台形や三角、菱形などの不整形な地形の土地
・2区分以上に利用方法を分けている土地
・私道に提供している土地
・道路と高低差のある土地
・伐採や整地の必要がある土地
・路線価の無い道に面した土地
・日照不足や騒音などで価値の低い土地
・建築基準法により再建築する場合は後退しなければいけない土地
・墓地に隣接、又は、向いにある土地
・水路を挟んだ土地
・都市計画道路の予定地
・高圧線の下にある土地 など

評価額が低ければ、その分相続税も安く済みます。
日照や騒音などは、図面や写真だけではわからないでしょう。
そのため、土地を評価する場合は、現地でしっかりと確認することが大切なのです。

土地の相続税評価額の計算方法 ②倍率方式

土地の相続税評価額の計算方法 ②倍率方式

路線価は全国の道路に定められているわけではありません。
路線価が決まっていない地域で用いる評価方法を、倍率方式といいます。

●倍率方式の計算式
固定資産税評価額×倍率=評価額

倍率方式は、その土地の固定資産税評価額に国税局が地域ごとに定めて毎年7月に公表する一定倍率を乗じ算出する方法です。
固定資産税評価額は、毎年5月頃を目安に土地の所有者に送付される「固定資産税納税通知書」に記載されています。

倍率については、路線価と同様に国税庁ホームページの「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で確認可能です。

不動産の相続税評価額を減額できるケース

不動産の相続税評価額を減額できるケース

ここからは、さらに他人の利用権分や特例で宅地の相続税評価額を低くする方法を紹介します。
適用を受けるためには厳しい条件がありますが、該当する場合は大幅な減額が望めるでしょう。

貸している土地

被相続人が第三者に貸している土地を相続した場合は、状況に応じて土地の評価額が減額されます。

借地権

借地権とは、地主に地代を払ってその土地を使用する権利のことです。
被相続人が所有している土地を誰かに貸している場合、次の計算式を用いて評価額を減額します。

●借地権のある土地の評価方法
自用地評価額×(1-借地権割合)=評価額

自用地とは、宅地を更地として考えた場合、つまりその上に建っている家屋等の価格は考慮しないという意味です。
借地権割合については、前述の国税庁ホームページに載っています。

貸家建付地

貸家建付地とは、被相続人が所有する土地にアパートやビルなどを建てて、他人に貸していることを指す言葉です。
土地を貸しているわけではありませんが、その上の建物に入居者がいるため土地利用の自由度は低いでしょう。
そのため評価額が減額されます。

●貸家建付地の評価方法
自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)=評価額
賃貸割合とは、その土地に建つ賃貸物件の戸数のうち入居者がいる戸数の割合のことです。

小作権や賃借権のある土地

第三者に貸している農地や第三者に貸している雑種地などを指します。
自用地評価額×(1ー賃借残存年数に応じた割合)=評価額

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例は大幅に評価額を減額させる制度で、一定の条件を満たす土地を特定の相続人が取得した場合に適用を受けられます。
この特例は条件が厳しく適用面積にも制限がありますが、その分効果が大きいため、土地を相続する場合は知っておくと良いでしょう。

土地と相続人の主な条件は、下記の通りです。

特定居住用宅地

特定居住用宅地は、被相続人が居住していた土地を、被相続人の配偶者や同居していた親族が取得したケースに適用されます。
取得後も、継続してその宅地に住み続けることも条件の1つです。

●特定居住用宅地の評価方法
宅地の評価額×(1-0.8)=減額後の評価額 ※限度面積330平方メートル

特定事業用宅地

被相続人が亡くなる直前まで営んでいた事業用地を、事業継承者である親族が取得した場合に適用を受けられます。
あるいは、被相続人が営む同族会社の事業用地を、その法人役員が取得した場合も同じく対象です。
いずれの場合も、被相続人が不動産貸付業・駐車場業などの貸付業を営んでいた場合は、下記の「貸付事業用宅地」となる点に注意しましょう。

●特定事業用宅地の評価方法
宅地の評価額×(1-0.8)=減額後の評価額 ※限度面積400平方メートル

【貸付事業用宅地】減額割合50%(限度面積200平方メートル)

被相続人、不動産貸付業を営んでいた場合は、貸付事業用宅地として扱います。

●貸付事業用宅地の評価方法
宅地の評価額×(1-0.5)=減額後の評価額 ※限度面積200平方メートル

具体的な事例で解説

具体的な事例で解説

土地の評価方法と減額方法について説明してきました。
ここでは、具体例を挙げて計算の流れをシミュレーションしてみましょう。

被相続人の自宅を同居親族が相続したケース

親の所有財産である自宅家屋と土地を、配偶者や同居していた長男などが相続するというのは一般的に多いケースです。
下記のような土地の場合、評価額はどうなるでしょうか。

【例】
・土地:被相続人の居住する自宅が建つ宅地(400平方メートル)
・相続人:同居親族(長男)
・減額前評価額:8000万円 ※各種補正率適用後とする

●小規模宅地等の特例を適用させた場合の評価額
400平方メートルのうち、330平方メートルまでの部分に減額を適用
①8000万円×330平方メートル÷400平方メートル×0.8=5280万円
②8000万円ー5280万円=2720万円

減額分:5280万円

今回の例では、相続した土地が広く適用範囲を超えていましたが、それでも5280万円もの減額が実現しました。
このケースで、相続人として配偶者と2人の子どもがいると仮定した場合の基礎控除額は下記のようになります。

●相続税基礎控除額(配偶者・子2人が法定相続人の場合)
3000万円+600万円×3人=4800万円

減額後の土地評価額2720万円と基礎控除額を比べると、その差額は2080万円です。
その他の遺産全体の評価額合計額が2080万円以下の場合、遺産分割成立と相続税申告を条件に相続税自体がかからないということになります。

このように、小規模宅地等の特例は大きな減税効果を得られる制度です。
遺産に不動産がある場合は、誰が相続するか慎重に検討することをおすすめします。

不動産を相続したときに節税するための仕組み

不動産を相続したときに節税するための仕組み

相続税には、税額を軽減するためにさまざまな制度があるのをご存じでしょうか。
評価額の減額と合わせて活用すると、より節税効果が高まります。

●配偶者の税額の軽減
被相続人の配偶者が取得した財産について、次の金額のどちらか多い金額まで相続税非課税
①1億6000万円
②配偶者の法定相続分相当額 ※配偶者と子が相続人の場合、遺産総額の2分の1

●未成年者の税額控除
未成年者が財産を相続した場合、下記の要領で控除できる相続税を算出
(18歳ー相続開始時の年齢)×10万円

●障がい者の税額控除
障がい者が財産を相続した場合、下記の要領で控除できる相続税を算出
(85歳ー相続開始時の年齢)×10万円、又は、特別障害者の場合は20万円

遺言書を作成して効果的な相続税対策を

ここまで、土地を相続した場合に有効な節税対策を紹介してきましたが、相続が起こったときに使えなくては意味がありません。
もしも、これから生前対策を考えているという人は、遺言書を作成することをおすすめします。

遺言書のない相続では、被相続人の遺産をどのように分けるか相続人全員で話し合うことが一般的です。
これを遺産分割協議といい、すべての相続人が合意しなければ終わりません。
相続人全員が節税の知識を持っているとは限らないでしょう。
あるいは、この相続での節税にばかり意識をとられて、次代にとって不利な相続をしてしまうケースも考えられます。

一方、被相続人が相続税に詳しい税理士に相談しながら遺言書を作成している場合は、どうでしょうか。
遺言書がある相続では、遺言書の内容に沿って遺産の分割を行っていきます。
つまり、あらかじめ効果的な節税ができるように遺言書を書き残すことで、不要なトラブルを防げるだけでなく効果的な節税対策が実現するでしょう。

不動産の相続税評価額に関するよくある質問とその回答

不動産の相続税評価額に関するよくある質問とその回答

最後に、相続を経験した方から寄せられることの多い「不動産の相続税評価額に関する質問」とその回答を紹介します。

Q1.すでに相続税を納めてしまったけれど、土地の評価をやり直すことはできますか。

A.できます。
ただし、期限には注意が必要です。

この記事で紹介したように、土地の評価を決める方法が複雑だとは知らない人も多いでしょう。
相続税の申告と納税は、相続開始から10カ月という短い間に適切に済ませなくてはなりません。
普通は不慣れなことばかりでしょうから、土地の評価額にまで気が回らなくても当然です。

相続税を納めた後でも、土地の評価をし直すことはできます。
このとき、相続問題と土地の評価に強い税理士などの専門家に頼むことが重要です。
その結果、相続税額が明らかに多すぎたことがわかったら、相続税の減額還付を求める手続きに進みましょう。
税務署が再調査を行い更正の請求が認められると、納税額のうち過剰だった部分が還付されます。

ただし、相続税の更正手続きにおける期限は、法定申告期限から5年以内です。
5年を超過したケースでは、評価をし直しても更正の請求をすることができません。

Q2.遺産分割協議で不動産の評価が決まらず先に進めない場合は、どうすれば良いですか。

A.遺産分割調停という選択肢があります。

遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要です。
しかし、遺産内容や関係性などによっては、話し合いが長引くことも珍しくありません。

特に、土地の評価はここまで紹介した通りに複雑で、さまざまな要因が絡み合います。
互いに主張を譲らない状況が続いているのならば、家庭裁判所で調停を申立てる方法があります。

遺産分割調停では、調停委員がそれぞれの意見を聞き取り、合意を目指します。
その中で、土地に関する意見の相違があれば双方に歩み寄りを促します。

合意にいたらない場合は、調停から裁判へと進み、裁判官の審判というかたちで家庭裁判所が独自に選任した不動産鑑定士による不動産評価額を基礎に審判を下します。

土地評価の実績が豊富な相続ステーションへぜひご相談ください。

土地評価の実績が豊富な相続ステーションへぜひご相談ください。

相続は、一生の一大事です。
ほとんどのケースは、突然の知らせから始まり、たった10カ月で土地相続を含むさまざまな相続手続きを行うことになります。
多くの人がわけもわからず進んでいくという感覚ではないでしょうか。

通常、相続には不慣れで当然です。
だからこそ、遠慮なくプロの手を借りてください。

プロに頼むと報酬が発生するから金銭的な負担が大きくなり損をすると思っている方もいるでしょう。
しかしながら、土地評価を適正に行うだけで、相続税額は数百から数千万円の差額が生じることも珍しくありません。
プロへの依頼費用は、その差額で十分に支払えるのではないでしょうか。

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30年以上の間、多くの相続問題に携わり、今まで累計で27,000件を超える土地を評価してきて定評をいただいております。
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