法務局での遺言書保管制度とは?遺言書の種類や申請方法、費用をご紹介
遺言書を作成することは、相続トラブルを未然に防ぎ、大切な家族への思いを伝えるために有効です。
しかし、作成した遺言書をどのように保管するか悩む方も多いでしょう。
そこで近年注目されているのが「法務局での遺言書保管制度」です。
本記事では、遺言書の種類や法務局での保管制度の概要、メリット、申請方法、費用などについて詳しくご紹介します。
遺言書の種類とは 作成に当たっての様式をわかりやすく解説

相続とは、亡くなった人(被相続人)の所有財産を相続人が引き継ぐ手続きです。
相続財産には、預貯金や有価証券、土地や建物といった不動産、書画骨董品に宝石貴金属などさまざまなものが含まれます。
大きな金額が動くことになるため、これまで仲の良かった家族でも関係性が壊れ、遺産トラブルが発生するというケースは珍しくありません。
そこで、遺産トラブルを回避するために重要な役割を果たすものが、被相続人が生前に書き残す遺言書です。
遺言書の種類と様式
遺言書には、法律によって厳密に定められた様式があります。
せっかく遺言書をしたためても、様式に不備があると法的な効力が発揮できないため、事前に様式をよく確認しておきましょう。
遺言書の種類は、主に次の3つです。
自筆証書遺言
自筆証書遺言は、遺言者本人が本文、日付および氏名を自書し、押印するという方法で作成します。
紙とペンさえあればすべて自分1人で作成できるため、手数料や報酬等の特別な費用はかかりません。
手軽に作成できる反面、チェック体制がないため、様式不備などの無効リスクが高いというデメリットがあります。
公正証書遺言
公正証書遺言は、証人2人の目前で、遺言者が遺言内容を公証人に口授して作成する遺言書です。
法律に詳しい公証人が遺言内容をまとめるため、様式面でも内容面でも無効リスクはほとんどありません。
また、作成後は、遺言書原本を公証役場で保存するため、改ざん・偽造リスクもなく、確実性の高い方法です。
ただし、遺言内容に応じた費用がかかります。
秘密証書遺言
遺言者が作成し封印した遺言書を、証人2人の目前で公証人に提示し「自己の遺言書」だとの証明を受ける遺言書です。
遺言者本人の遺言書だということを明確にしながら、遺言書内容は秘密にすることができます。
また、秘密証書遺言は自筆である必要はないため、パソコン等を使用しても第三者が代筆してもかまいません。
公証人手数料として、一律1万1000円が必要です。
遺言書の役割
遺言書のない相続では、遺産分割の方法について相続人同士で話し合う必要があります。
これを遺産分割協議といいますが、相続人の関係性によってはスムーズに行かないことも多いでしょう。
しかし、遺言書を作成しておけば、遺産分割方法を明確に指示することができます。
法定の相続割合とは異なる分割方法を提示したり、相続人以外に財産を遺贈したりすることもできるため、遺言者の希望通りに相続が行えるというわけです。
自筆証書遺言書の課題とは
自筆証書遺言は、手軽で自由度の高い遺言書ですが、以下のリスクが高いという課題があります。
●改ざん・破棄・隠匿リスク
自筆証書遺言は、作成後に自宅で保管することが一般的です。
そのため、将来の相続人(推定相続人)や相続権を持たない親族などの利害関係者の目に触れやすいという問題があります。
遺言書の内容を盗み見たり、自分の都合の良いように書き換えたり、都合の悪いものは破棄や隠匿したりといったリスクが高くなるでしょう。
●紛失・未発見リスク
改ざんリスクを低減させたいからと、遺言書を厳重に隠しておくと、別の問題が浮上します。
もしも、相続が開始しても相続人に発見されない可能性が出てくるでしょう。
あるいは、長年保管しているうちに紛失してしまっているかもしれません。
家族のために作成した遺言書も、相続時に確実に相続人が見つけてくれないと意味がないのです。
≪関連ページ≫
●遺言書(自筆証書遺言)を作成する際の書き方とポイントを文例付きで解説
遺言書を法務局にを預けられ る自筆証書遺言書保管制度とは

2020年7月10日より施行された「自筆証書遺言書保管制度」は、法務局で自筆証書遺言書を安全に保管する新しい仕組みです。
この制度は、遺言書の紛失や改ざんを防ぎ、相続をめぐる紛争を防止することを目的としています。
自筆証書遺言の課題である改ざん等のリスクと未発見リスクの双方を回避するためにも有効です。
自筆証書遺言書保管制度でできること
遺言者は、法務局の遺言書保管所に保管申請を行い、自身の遺言書を預けることができます。
具体的な手順を、ステップごとに見ていきましょう。
ステップ1:自筆証書遺言書を作成する
自筆証書遺言を作成します。
このとき、遺言書の紙は何でも良いのでしょうか?
遺言書の用紙について、法律上の決まりはありません。
しかし、自筆証書遺言書保管制度では用紙について、以下の通りルールを定めています。
●自筆証書遺言書保管制度における遺言書様式
・A4サイズ
・文字の判読を妨げるような模様、彩色のないもの(罫線などは問題ない)
・記入は片面のみ、法務局指定の余白を確保すること
・ホチキス止めはせず、ばらばらのままで提出すること
また、筆記具については、はっきりと読みやすい色のボールペン等を用います。
長期間保管するため、容易に消えないインクのものを使いましょう。
ステップ2:保管法務局を決める
保管申請を行う保管場所を決める際の選択肢は、次の3つです。
・遺言者の「住所地」を管轄する法務局
・遺言者の「本籍地」を管轄する法務局
・遺言者が「所有する不動産の所在地」を管轄する法務局
遺言書は、作成してから使うタイミングまで、長い時間がかかることが多いものです。
そこで、遺言内容を変更することもあります。
法務局に預けている遺言書の内容を変更したい場合は、遺言書保管を撤回して新しいものと交換したり、部分的に追加を明記した遺言書を作り追加保管申請をしたりすることが必要です。
この手続きは、最初に預けた法務局に対してしか行うことができません。
保管先の法務局には、何度か通う可能性を考慮して、アクセスの良い法務局を選びましょう。
ステップ3:遺言書の保管申請書を作成
保管申請書は、法務局の遺言書保管制度のホームページより、ダウンロードで入手可能です。
または、最寄りの法務局窓口でも手に入ります。
ステップ4:遺言書の保管申請予約
保管申請や請求を希望する際は、原則として予約が必要です。
予約せずに行っても、長時間待ったり、後日出直したりする可能性があります。
必ず、予約して行くようにしましょう。
ステップ5:遺言書の保管申請
遺言書の保管申請ができるのは遺言者本人のみです。
代理人申請や郵送での申請は受け付けていません。
申請に必要な持ち物は、以下の通りです。
●保管申請に必要なもの
・遺言書
・保管申請書
・顔写真付身分証明書(マイナンバーカード、運転免許証など)
・住民票の写し(本籍および筆頭者の記載入り、マイナンバーや住民票コードの記載なし)
ステップ6:保管証を受け取る
遺言書の保管手続きが完了すると、「保管証」が発行されます。
保管証の記載事項は、遺言者の氏名、出生年月日、保管所名称、保管番号です。
保管番号は、再発行できません。
保管番号がわかると、遺言者の手続きはもちろん、相続人の手続きもスムーズに行えます。
遺言書を預けた後にできること
自筆証書遺言書保管制度では、遺言書を預けた後に下記の申請や請求が可能です。
●預けた遺言書を見る
預けた遺言書の内容を確認したいときは、閲覧請求を行えます。
・原本確認:遺言書を預けた保管所のみ
・モニター確認:預けた遺言書を撮影したデータとして閲覧するもので、。
全国すべての保管所で可能
●預けた遺言書を返してもらう
遺言書の返還を希望する場合に行う手続きは、「遺言書の保管の申請の撤回」です。
ただし、これはあくまでも預けている遺言書を返してもらうことが目的で、遺言書の効力には影響ありません。
≪関連ページ≫
●遺言書保管制度とは?法務局にて適正に管理・保管されます
遺言書を法務局に保管するメリットとは

遺言書を法務局に預けるメリットは、以下の仕組みによって自筆証書遺言書の利点は損なわずに問題点を解消できるところです。
改ざん・破棄・隠匿リスクを防ぐ仕組み
自筆証書遺言書保管制度では、遺言書を2種類の方法で保管します。
●原本保管
・遺言者が作成し、申請時に提出した遺言書の原本
・保管期間:遺言者の死亡後50年間
●画像データ保管
・遺言書原本から作成した画像データ
・保管期間:遺言者死亡後150年間
原本も画像データも適正に保管され、利害関係者が改ざん・偽造・破棄・隠匿などを行う機会はありません。
紛失・未発見リスクを低減する仕組み
自筆証書遺言書保管制度には、2種類の通知制度があります。
関係遺言書保管通知
・通知のタイミング:遺言者の死亡後に相続人等のうち誰か1人が遺言書を閲覧したとき、または遺言書情報証明書の交付を受けたとき
・通知内容:「遺言書が、自筆証書遺言書保管制度に保管されている」旨のお知らせ
・通知対象者:あらかじめ、遺言者によって登録された相続人全員
死亡時通知
・通知のタイミング:法務局側で死亡の事実が確認できたとき
・通知内容:「遺言書が、自筆証書遺言書保管制度に保管されている」旨のお知らせ
・通知対象者:あらかじめ、遺言者によって指定された通知対象者1名
この通知によって、相続人は遺言書があることを知ると同時に、誰か1人だけが抜け駆けすることも防げるのです。
法務局で遺言書を保管してもらう費用や注意点

自筆証書遺言書保管制度を利用する際は、一定の手数料がかかります。
●遺言書保管制度にかかる費用
・遺言書の保管申請:3900円/遺言書1通
・遺言書の閲覧:【モニター】1400円/1回【原本】1700円/1回
・遺言書情報証明書の交付請求:1400円/1通
・遺言書保管事実証明書の交付請求:800円/1通
手数料の納付は、所定の用紙に収入印紙を貼って提出する方法です。
収入印紙は、郵便局やコンビニのほか、法務局の窓口でも購入できます。
数万から数十万円の費用が必要となる公正証書遺言と比較すると、はるかに安く利用できることがわかるでしょう。
自筆証書遺言書保管制度の注意点
保管申請以降の費用については、明らかになりました。
では、法務局で遺言書を作る費用はいくらなのでしょうか?
実は、法務局では遺言書を作ることはできません。
これは、あくまでも「自筆証書遺言」を保管する制度です。
法務局の職員には、遺言書の内容について一切相談することはできません。
また、保管申請の際に外観的な様式確認は行われます。
しかしながら、内容について保証するものではないという点を覚えておきましょう。
それならば、遺言書はどこで頼めば良いのでしょうか?
相続税や相続問題に強い専門家に意見を聞きたい場合は、税理士や弁護士、司法書士などに相談すると良いでしょう。
中でも税理士で相続税や贈与税に強く、相続問題を多く請け負っているところにはノウハウも蓄積されています。
トラブル回避と相続税対策に適した遺言書を作成できるでしょう。
遺言書保管証明書 と遺言書情報証明書とは?

自筆証書遺言書保管制度では、遺言者の死亡後、その相続人等(相続人、受遺者、遺言執行者等)は、遺言書について2種類の証明書について交付請求が行えます。
●遺言書保管事実証明書
この証明書は、特定の人の遺言書が保管されているかどうかを証明するものです。
例えば、被相続人が生前に遺言書を作成したかどうかを知らない相続人が、「遺言書が保管されていますか?」と問うために請求します。
この証明書で、被相続人の遺言書があることが判明すると、次には遺言書情報証明書を取得することが可能です。
●遺言者情報証明書
この証明書は、遺言者の氏名、出生年月日、住所および本籍に加え、目録を含む遺言書の画像情報を出力したものとなります。
この証明書は、金融機関口座や不動産登記の名義変更、相続税申告などに必要です。
相続において、どのような手続きがあるのか、証明書類は何部必要なのか、相続開始後に一覧表にリストアップしておくと良いですね。
遺言書の手続きや書き方でお困りの際は専門家にお任せください

法務局の遺言書保管制度は、遺言の安全性を高め、相続手続きをスムーズにする制度です。
ただし、遺言書自体の法的効果を保証するものではありません。
遺言書を作成する際は、相続や税務に詳しい専門家に相談することをおすすめします。
専門知識を持つプロに依頼することで、法的効果のある適切な遺言書を作成でき、安心して相続対策を進めることができるでしょう。
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